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まとまらないお話たち

第4章 4


修理期間の間。
何泊か無料で泊まらせてくれるというので、二人はありがたくその話に乗った。
迎えの兵士がまた来ないか、とかいう不安もあったがとりあえず野宿は嫌なのでミールも賛成。
わがままで連れてきてもらった、野宿も覚悟していた、けれどその、旅を始めてすぐに……というのは、なんだか……。
「(彼には悪いけど)」
「…2人とも、特にヴィーデさん。ありがとうございます。朝食……まだですよね? 良かったらどうぞ」
柔らかな日差しにそういえば、と窓から差し込むソレを見る。
少し薄く汚れた窓から見る外は、まだ人の気配もまばら。
おまけに薄く霧のようなものが……朝霧だろうか。
「…いえ、俺は…」
横から聞こえたその声にはっとして彼の方を見る。
宿主の男性は気にせず彼に皿を渡そうとしているが、…彼は手を胸の前で振る。
あれ?
どうしてだろう?
確か最初は、あの日は、食べていたはずなのに。
「おなか、空いてないの?」
具合でも悪いのだろうか?
「ん、…まぁ……な」
皿を受け取りつつ、その顔を覗きこんで言うと途端に彼はその皿から避けるようにして、……いや、目は完全にそむけた。
何をそんなに? 他国の料理は口にはいれないほうなのか?
「……(こんなにおいしそうなのに…)」
半熟卵にソーセージに、丁度良い具合で焦げ目がついている食パン。
食パンの間にはみずみずしいサラダとスライスしたたまねぎ、ハムが挟まっている。
しかもコーンスープつき。
城ではもちろん、これ以上のものを食べてはいたけれど。
期待していなかった…と言うと、彼に悪いかもしれない。
けれど見た目は勿論のこと、中もこんなに古い宿屋でなにしろ宿主自身もあまり儲けがないということをその顔で告げていた。
自分が入って来たときも、パッと見は彼1人だったし、……後で2階(客室)も調べてみたが、全部カラ。
そういう所を見たせいか、どうにも……。
いや、多分心配するのは余計なお世話でしかないに違いないからやめるけど。
「(……)」
自分は王家の人間。
扉のこともあるのに、ここまで面倒をかけてはなんだか申し訳ない。
もういっそのこと、宿を全部改装ということでお金を手配したいところだが。
(何しろお金は十分ある、ただ使い道に困っているだけのソレが。こういう所で使わないと意味がないじゃないか)
「……?」
ふ、と低く呻くような音がした。
「っ!」

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