まとまらないお話たち
第4章 4
『どうして俺に構うの?』
それは。
あんな咄嗟の願いでも、彼は聞き入れてくれたから。
機敏さが良かったとかそんなんじゃない、その優しさが良いと思った。
フツウの人なら「なんだお前」的な顔して助けてもくれないだろうから。
「(いや、彼もそんな風な顔をしていたけれど…でも…うーん)」
何にせよ、彼なら信じられると思った。
父母は、国民達はみんな優しいと言っていたし、…現に、今も傍においてくれているからそこのところは「優しい」のだろう。
自国の……? いいや、どこの国の者だろうと関係ない。
「…ミール?」
「! あ…、ごめんっ。えっと……」
藍色の瞳と不意に視線が交差し、慌てて目を逸らした。
髪と同じその色。
黒か紺なのか微妙だと彼は言っていたけれど、でも…綺麗だと思った。
ただの藍一色。
夜闇に紛れると他の色と同化して…少なくとも、黒や紺のように隠れるんだろう。
けれど自分のこの色は……月の光を浴びると特に…。
「お、王族は…っ、私の国では、みんな王家の血が流れる者は黒なの。普通の平民と結婚したとしても、王族の血は濃いからその影響が子供には表れる。けれど、私は……」
今となっては「余計」なことを考えていたのは、彼のその色に見惚れて、だろう。
もしあの時優しいからと答えていたら絶対に変な反応されると思ったから、…言わなかった。
自分の言葉がおかしいのは十分承知しているし。
「……父も母も純粋な黒。最初は、母が父以外の男と寝たんじゃないかと思われて…」
下の方で、ゴムで束ねたその髪に指を通す。
どこにも引っかからずにサラサラと流れた、…柔らかな質も、また『王家の血』。
「眼も…黒なの…」
何か話したいと思った、そのためにいきなり彼からじゃ悪いだろうと思ってまずは自分の話題。
慰めでかはわからないけれど、皆「きれいだよ」とは言ってくれた、桃の瞳と銀の髪。
最初は疑ったものだ、ちゃんとした「証拠」が見つかるまでは。
その証拠を調べるのに赤ん坊の頃の自分は血液採取など色々された、と母に聞いたが……。
「…“色”が証になるのは俺のいた所でも同じだよ」
どこの国でも同じ?
驚き半分、あぁやっぱりそうなんだと少し残念に思いながら顔を上げると、彼はさほど気にしてなさそうに
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