テキストサイズ

まとまらないお話たち

第4章 4

「でも皆いい加減。俺の所の王家は皆金色の髪を持つといわれてるけど、茶やら白やら…まぁ老いるせいかもしれないけどな。…俺の家系もそう。先祖が…なんでも、お偉い王様が住む城で騎士団長やってたとかで、それをやれと子孫の代まで言われてさ。勿論そんなの律儀に守ってたのは俺にとっての曾祖父ちゃんぐらいまでで…」
淡々とそんな風に言ったあと、最後の言葉には。
「何そんなつまらないこと気にしてるの?」
「…………」
つまらない…ああ、そうか、他人から見ればそうなのかもしれない。
けれど彼にどう言われようとも、これからも…多分、コンプレックスとなるのだろう、この髪色は。
「とりあえず珍しいと言ったのは訂正しとくよ、その言葉嫌いみたいだから」
木製テーブルの上に置いてあった箱をシャツの胸ポケットにしまい、彼は椅子から立ち上がった。
もう…どこかへ行くのだろうか?
確かに退屈は退屈であったかもしれない、それに彼のことを聞こうとは思っていたがいくらか聞いてしまったことだし、この雰囲気を見るとあまり話の先は期待できなそうだ。
「………」
顔を上げる、彼が横を通ろうとしたとき、微かに煙草の臭いがして頭にポン、と柔らかな衝撃があった。
「…俺も最初はこの色嫌だと思ったけど、ここまでくればもう慣れたものだよ。将来意外と似合う女になるんじゃないの? ……あんたがこの色を褒めてくれたように、あんたの色を褒める奴もいるさ」
勿論お世辞じゃなく、とその後続いた言葉にはっとした。
彼は気付いていたのだろうか、……それともそんな簡単に見抜かれる程自分は情けない顔をしていたのか。
いや、でも……あの自信のない話し方からすると誰も感づくものなのかもしれない。
「……っ」
同情心から彼の色が綺麗だと褒めたつもりはなかった、今もだけど夜の色は嫌いの方じゃないから…神秘的にも思うその色は。
良いと、思う。
自分の言葉を本心と彼がとったかどうかはわからないけれど、
〝あなたは?〟
あなたは褒めてくれないのですか?
尋ねようにも彼は逃げるように「外で吸ってくる」と言いドアを開けてしまった。
完全に形としては直りつつある扉。
あとは色塗り…塗装、ぐらいで。
そういえば「仕事」の休憩中に一服でもしようかと彼がテーブルにいたところで、厚かましくも自分は『対話』へと入った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ