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まとまらないお話たち

第5章 5


……まさかこんなことになるとは。
しかしもっと予想外なのはあっさり自分と同じベッドに入り、
「…で、てめぇはさっきからドコ触ってんだ?」
衣服の上から胸部をさらさらと撫でるその手。
リンのこめかみに青筋が走る。
低い声音で尋ねるがロウの挙動は止まらない。
それどころか
「どーだ…? お互いフラれた者同士、愉しくヤ·ら·な·いか?」
「……そんなにシてえなら望み通り昇天させてやる」
「わっ、わー! 男に戻るな、リン!!」
慌てて飛び退き、ぎりぎりのところでその拳を避けた。
「おっ…まえさ、女の時ぐらい少しはお淑やかになれよ」
ロウの言葉にフンッとリンは鼻を鳴らす。
「てめェこそ。いい加減、雄にまで欲情すンのやめろ」
「ん? オアズケのせいで溜まってんだろ? 俺とメイの熱~い遊戯に混ぜてやってもいいんだゾ?」
「死ね」
断固とした拒絶にロウの眉尻が下がる。
彼は大げさに肩をすくめるとリンの肩に腕を回しそのまま顔を寄せた。
「んだよっ、離れ「リン」
いつになく真面目な顔つきを見せるので、思わず口を閉じる。
「…一つアドバイスだ。処女[レピア]はまず…。こ、こらこら待てよ」
アドバイスのアの字で早くも逃げ出そうとしたリンの首根っこを掴み引き戻す。
「聞けって! ――女の姿をフル活用すればいい」
「…何を言い出すかと思えば…」
「わかってねえなー同じ女なら怖くないだろ? まずはそれで慣らす。優しくエスコートするんだ」
「…具体的には?」
「えっ? そ、そうだな…」
あっさり話に乗ってくるとは思わなかったのかロウが若干驚いたように言葉を吃らせる。
その姿にバカを再確認しつつ、まだ眠気がこないので少しの間付き合うことにした。
数分後。
一体何を言ったのか再びリンの怒りに触れたロウは今度こそ遠く夢の彼方へと旅立つのである。

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