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まとまらないお話たち

第6章 6


田圃に囲まれた田舎道を歩く中で、一つ上の加藤はサッカー部のキャプテンで7月生まれの蟹座だということを知った。
(とは言っても、ハル子が訊くまでもなく彼が勝手に話したのだが)
サッカー部のキャプテンといえば、毎年ファンクラブが出来ることが有名。
顔は見たことないけれども、そういえば名前ぐらいどこかで聞いたかもしれない。
噂ではごくごく普通の、笑顔がまぶしい明るいサッカー少年とどこかで聞いたような気がするが……。
「あの、えと………えっと、」
頬を高潮させて口ごもる彼を、首を傾げつつ見詰める。
話の途中で彼は不意に言葉を切り、歩調までも止めるものだから、いつのまにか先を歩いていたハル子は振り返り足を止めることとなった。
「…なんですか?」
なにやら噂とは違う、…いや、背高い爽やか少年のような感じの彼が背を縮めて、顔を赤くして、ゴモゴモと言葉を濁している光景は何だか妙だ。
頭上では天高く雲ひとつない空で、太陽が2人をジリジリと夏の視線で熱する。
風は吹いているのだが熱風にしかならず、聴こえる蝉の鳴き声は身体の熱を高めるように耳に障る。
「………」
別に夏がキライだという訳ではないのだけれども、丁度日が一番高く昇るこの時間帯、日に焼かれるのは少し辛い。
それが態度に表れているせいか、知らずのうちにハル子の足は地団駄を踏んでいた。

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