まとまらないお話たち
第6章 6
茶封筒から出した紙幣を無理矢理サイフに押し込んで、それを携帯と一緒に小さな手提げポーチに詰め、駅まで自転車を扱いだ。
速く扱いだつもりだったが、それでも時間ギリギリで、そして案の定、……制服の姿のまま。
先に待っていた、お洒落な私服を纏う晴子は少し呆れた様子で、
「あんたどうして制服のままなん?」
と独特の関西の方の訛り声で言ったがそれを無視した。
(そういえば地元は向こうの方らしい。どうりで「図太い」性格のはずだ)
「良いよ、早く行こっ」
ゆっくりとしていたら段々と時間がなくなる。
第一日が沈む時間になって買い物だなんて、もう市の防災放送も「おうちにかえりましょう」の放送をし終わってから行くだなんて、この子は本当に無茶苦茶だ。
厳密には夏だからまだ明るいのだけれども。
どんなに遅くても8時までには帰ろう、とハル子は決めていた。
8時以降は駄目だ、危ない。
若しかしたら今日辺りは親も早く帰ってくるかもしれないから。
ところがハル子の思うまでもなく、どうやら買い物の目的は「あるもの」を買うという目的しか晴子はないらしく。
だからこそこんな夕方に遊びに誘ったのかもしれないが、そこの売り場に行く際、晴子はハル子に、セーラーのタイを外して胸元を大きく開けるようにと、それからスカートの丈もあげるようにと言った。
なんでそんな指図を受けなければならないのかわからなかったが、言われるがままそれを実行して彼女の後についていくと、…なるほど。
婦人用下着売り場。
晴子はオシャレな私服だし、それに背も結構高いから高校生に見えなくもない、しかし、もし、あのままただのセーラーで行っていたら自分は、背は小さいのだし、間違いなく中学生に思われただろう、……けれど別にこんなところ、まだ自分には関係ない。
「普通のって飽きるやん? やからな、うちはいつもここで買うんやけど…」
しかも晴子はここの常連と来たか、どうりで体操着の下からでも透けて見えるブラの色は黒やらオレンジやら派手だなと思っていたが。
普通の中学生がつけるような、ワイヤーも何もない、スポーツメーカーがつくる「ブラ」をするほど収まる小さな胸の自分は、やはりここでは駄目だろう。
「結構可愛いのもあるんや。高校生も買いに来るんやし、ハルとお揃いで何か買おうと思ってな」
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