まとまらないお話たち
第6章 6
「怜ちゃぁーん」
風呂上がり。
ガウンを纏った女が一足先にベッドの上でこちらに向い手招きをする。
「………」
吐息半分。
同じく腰にタオルを巻いている君村は女の手に導かれるまま、ベッドにあがる。
その体を倒してキスをしながらガウンの帯を解くと、するするとそれは肌蹴ていく。
下に顔を下げ首に唇を重ねながら、豊かな胸の片方を揉みしだいてやると、ふぅと熱い吐息が口から漏れ、その乳頭は尖りを増した。
「あぁん、怜ちゃん…」
甘い声に辟易する。
何度こんなことをするたびに別れようと思うだろう。
婚約者という肩書きのある、自分を怜ちゃんと呼ぶ女、まどか。
現在も交際進行形の彼女とは親同士が決めた許婚であり、今現在もこうして体を重ねる中だ。
「ぁふ……だ、ダメ怜ちゃん。もっと優しくシて…」
君村は知っている、こういう甘い声を自分以外の男にも聞かせていることを。
浮気…もとい、二股。
それをかけられていると知ったのは先月のことで。
ああ、丁度あの中学に職が決まったときか。
別に当初とは違ってなんだか愛も冷めていたから、別に知ったときもどうとも思わなかったけど。
聞けばコイツは、幼い頃からなんとなく互いの婚約話は出てたというのに自分と付き合うより以前、色んな男を引っ掛けてはいたらしいし、……元々その素質はあったのだ。
幼き頃は可愛い純粋な女の子であった彼女も、時が経つにつれ女と化した。
『君村先生』
あの小生意気な女生徒も何れは女になるのだろう、…案外まどかみたいな女になるかも。
そこまで考えて知らずうちに微笑が出た。
「……怜ちゃん?」
けれど呼ばれてはっと自我に戻った、…なぜ今アイツのことを?
気にするな。
脳内の奴を振り払いつつ、愛撫に集中する。
「いや…よく感じてンなーと思ってさ」
「えぇー? いやぁだ、もうー怜ちゃんたら」
「嬉しいよ」
……愛してる、とその耳に唇を寄せ囁いたあと、耳朶を甘噛みしながら下腹部へと手を走らせる。
『良いよなぁーお前は! こーんな可愛い中学生に囲まれてさっ』
不意にその言葉が脳内を過り、ピクッと愛撫する手が止まった。
AⅤビデオの編集、撮影を手がける仕事をしている古い友人、中嶋。
全然そういう気は学生時代見せなかったくせに、成人してから再会したときは本当に驚いたが、…いや、今はそんなの関係ない。
「ァッ……怜ちゃ…!」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える