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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

「愕かせてしまって、ごめんなさいね。あなたを見ていたら、つい昔のことを色々と思い出してしまって。私も歳かしら、近頃、恥ずかしいくらい涙脆くなってしまって」
「私、正直申し上げて、びっくりしてしまいました。叔母上さまがあまりにもお変わりないゆえ、私の方こそ真に十年もの年月が経ったのかと夢を見ているかのような心地になりました」
 これは嘘や追従ではない。

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