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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

そして、幼き人たちを追うかのように桐壺御息所までもが儚くなってしまった時、私は生まれて初めて天を恨みました。この世には御仏はおわさぬものか、神仏には情け容赦もなく幼き者、弱き者の生命を奪ってゆかれるのかと。されど、あなたの言葉を借りるなら、それこそが天命、天の与え給うたそれぞれの宿命なのでしょう」
 公子は、その言葉にゆるりと首を振る。

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