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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

―何ということ。
 よもや、ここまで来て、帝に逢うことになるとは思いもしなかった。迂闊だった。内裏に来れば、そこに住んでいる帝に逢う可能性もあることは判り切っていそうなものなのに、大宮御所と清涼殿は遠く離れているゆえ、そんなことなど考えてもいなかったのだ。

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