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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

「それは、祐子がそなたに似ていたからだ」
「―嘘」
 公子は小さくかぶりを振る。
「嘘、俺の言うことが嘘だと何故、そなたには言い切れる? 俺は祐子を愛していたわけではない。いや、それは言い過ぎかな。最初は、そなたによく似た祐子を通して、そなたを見ていたことは確かだが、次第にあいつの優しさやそなたにはない従順さ素直さを可愛いものだと思うようにはなっていた。

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