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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第4章 参の巻

 恐らく、二人は出逢うべきではなかったのだ。いつの世にもけして相容れない者たちは存在する。恐らくは帝と公子はそう呼べる者たちなのだろう。
 いや、公子が帝を変えたわけではない。帝の中には生まれたその瞬間から、時として怖ろしいほどにまで冷酷になれる―そんな性癖が潜んでいたのだ。その酷薄さが最もよく現れたのが、かつて大切な儀式の最中にお側に控えていた典侍を陵辱し、死なせてしまった事件であった。

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