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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第5章 四の巻

 大抵の娘なら、帝という立場、あまつさえ、これだけの容貌と優雅な物腰の彼に見つめられれば、おどおどして眼を伏せるか、頬を上気させて恥ずかしげに微笑むのに、公子は幼い中から明らかに他のあまたの女たちとは違っていた。そのことに帝は烈しい反感と誇りを傷つけられた苛立ちを感じながらも、興味を持ち、次第により強く魅せられていったのだ。

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