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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

「姫」
 呼ばれて、公子は弾かれたように顔を上げる。まなざしとまなざしが切なく絡み合ったけれど、今度はもう公子は視線を逸らさなかった。
 公之の真摯なまなざしが公子に向けられている。男の貌がゆっくりと近付いてきて、唇がごく自然に重なった。

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