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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第1章 《序章》

「醜女」
 憎らしいことに、眼の前の少年は思いきりしかめ面をして、おまけにあかんべえまでしてみせる。少女が敢えて無関心を装おうとすれば、少年は余計にムキになったかのように挑発めいた言動に出るのは常のことだ。
「何ですって」
 少女は握りしめた両の拳に更に力を込める。
「醜女」
 少年はわざとらしく、今度はゆっくりと大きな声で叫ぶ。

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