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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 こんな男たちに犯され、辱めを受けるくらいなら、昨夜、宇治川に飛び込んで生命を絶っていた方がよほどマシだった。
 公子は溢れる涙をぬぐうこともできず、眼を閉じた。両手は荒縄で縛られているため、抵抗らしい抵抗もできない。
 自分はこのまま、この盗賊たちの嬲りものにされてしまうのか。そう思うと、耐え難い怖ろしさが胸に押し寄せる。

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