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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 公子は涙の滲んだ眼で、男を睨みつけた。
「これこれ、この眼。たまらねえな。そそられるぜ」
 鬼丸が舌なめずりするような眼で公子を見る。
 下卑た視線に晒され、公子は身が戦慄くのを感じた。
「兄貴、さっさとやっちまおう、俺はもう我慢できねえ」
 里丸が言い終えるのももどかしく、小袖と袴を脱ぎ捨て、下帯一つになった。

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