テキストサイズ

無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 それは、この世のものとも思えない凄惨な光景だった。里丸の首が地面に転がり、首と切り離された胴体が血飛沫をごぼごぼと溢れさせながら倒れてゆく。
 公之は里丸に斬りつける暇すら与えなかった。すれ違いさま、たったひと太刀で里丸を切り伏せたのだ。
「手前ェ、よくも弟を殺りやがったな」
 鬼丸が憤怒の形相で公之を睨めつけた。
「弟の弔い合戦の前に、お前の大切な女をあの世に送ってやる」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ