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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 その祐子が寝所に伺候して、すぐに懐妊し、更に第一皇子を上げたときには流石の道遠も内心は焦ったものだった。狂喜した帝は何をとち狂ったか、祐子を更衣から女御に進ませると言い出し、そのようなことは前例がないと幾ら道遠が反対してみても一向に引こうとはしなかった。
 道遠にしてみれば、けして表には出さずとも、祐子の生み奉った御子が次々に亡くなり、挙げ句、祐子本人までが亡くなってしまったのは、まさに予期せぬ幸運であった。

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