禁断兄妹
第61章 消せない傷
「何歳‥‥難しい質問ですね」
灰谷さんは
誠実な表情を
私に向けて
「法的には二十歳以上が成年とされていますが、いくつになっても精神的に子供な人はいますから。
逆に未成年でもその辺の大人よりしっかりした考えを持った者もいますし」
言葉を選び
真剣に答えてくれる灰谷さん
「しかしどんなに立派な人間性や体躯を持っていても、未成年者には法的に様々な制限があります。責任を免れることも多い‥‥守られているんです。
例え責任を取りたくとも、社会は取らせてくれません。
自分の行動に責任が持てるのが大人だと考えると、二十歳未満は大人ではないと言える」
二十歳
まだ
七年もある
「心と身体が成熟するのも、やっぱり二十歳でしょうか‥‥」
「先ほど私が言った言葉ですね‥‥それはまた別の話です。
女性は婚姻が認められる十六歳で、身体は成熟してるとも言えますし」
「十六歳で結婚できるんですか?!」
「ええ。男性は十八歳以上ですが。結婚に興味がありますか?」
灰谷さんが微笑む。
「い、いえ‥‥結婚はしません‥‥」
「独身主義ですか。まあそれも自由ですね」