禁断兄妹
第62章 夢のチカラ・夢のカケラ
リハーサルを終え
控え室に戻った俺は携帯を見たけれど
いくつかの着信とメールの中に
それらしいものはなく
和虎に伝えると
そっか、と肩を落とした。
「実家に戻ったのかな‥‥一人じゃなきゃいいけど」
「和虎、その週刊誌って、今持ってるか」
「あ、うん」
「見せてくれ」
今まで
その手の週刊誌の内容を見聞きすることはあっても
読んだことはなかった。
でも今回は
読まなければいけない気がした。
複雑な表情で手渡された
その表紙には
『人気モデルYUNAの驚愕人生 誰も知らなかった裏の顔』
中を開くと
俺のアパートの部屋へ入る由奈の写真
内側からドアを開けている俺の姿も
僅かながら写っている。
記事は
まるでドラマのような由奈の生い立ちを
毒を含んだ筆致で
まことしやかに描いていた。