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禁断兄妹

第63章 聖戦




───もし俺が、このまま喋れなくなった時は‥‥それを、ケンに───


お父さんが
あのまま死んでしまうなんて

そんなこと信じてない

お父さんは必ず目を覚ますの
元気になるの

ケンタロウさんとも
自分の口でお話しできる


そう
だから
手紙が奪われたとしても

絶望する必要は
ないの



───もしこの姿形がなくなっても、ちゃんと見てるから。お父さんは萌のこと、いつだって応援してるから。

 それは今もずっと先も、そばにいても遠く離れても、変わらないよ───



絶望する必要は

ない



「う‥‥ウウウ―――ッツ!!」


突き上げる嗚咽

歯軋りするほどきつく結んだ口から
漏れて

目の奥が燃え

涙が

ぼたぼたと落ちた。


ぐにゃりとした肉塊は
男の手の中で
あっという間に頭をもたげ始め

蠢きながら
そそり立っていく。


男に乗られたままの両足は
痺れて
もう感覚がない。


その痺れが
毒のように全身に回って

指さえ
動かない。


とっくに干上がっている喉

漏れる嗚咽も掠れて
声にならない。


もう
だめ


手紙は奪われ

私は
犯される


お父さんにも
柊にも
お母さんにも

もう誰にも

合わせる顔がない


消えて
しまいたい


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