
禁断兄妹
第64章 聖戦②
早く
あの悪魔が目を覚ます前に
「おりるんですか?自分で歩きたいんですか?」
戸惑いながら
しゃがみこんだ灰谷さんの背中からおりて
地面に足をつけたけど
両手を離した瞬間
力の入らない足はぐにゃりと折れて
後ろに尻もちをついた。
「萌さん!」
慌てて抱き起こしてくれた灰谷さん
その瞳を強く見つめて
喉を抑えて首を振った。
「‥‥声が出ないんですね?でも何か言いたいことがあるんですね?」
大きく頷いて
訴えかけるように
もう一度
口を動かした。
手紙
て
が
み
灰谷さんが
私の口の動きに意識を集中させる。
読み取ろうと
瞬きもせず
食い入るように私の唇を見つめて
同じように
口を動かす。
「メカイ?テカニ?」
違う
首を振って
もどかしくて
大きな胸を押し返すように
叩いた。
「そうだ、指で書いてくれればわかります!私の手のひらでも、地面でも!」
はっとした声をあげた灰谷さんが
私の右手を取って
興奮気味に引き寄せた。
「灰谷!!!」
絶叫が
聞こえた。
私と
灰谷さんが
同時に向けた視線の先には
柊が
立っていた。
