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禁断兄妹

第64章 聖戦②






触らないで



窒息しかけていた心が
金切声を
あげた。


その悲鳴は
身体の内側を

痛いほど震わせて



───さて挿入れるか‥‥───



記憶の雪崩を

ひき起こした。



───柊に君のことを頼まれた。まあ見ての通り、怪しい者じゃないから───



一瞬にして遡る
恐怖と
後悔の記憶



───写真は後で全部あいつに送信してやる‥‥じっくり眺めた後は証拠写真にでも使えばいい───



───もう一度父親に書かせればいいだろう?

 ‥‥今頃死んでくれてりゃ、願ったり叶ったりだがな───



飲み込まれて
いく



───お父さんごめんなさい、疲れさせて‥‥ごめんなさい‥‥───



泣き叫ぶ心が
押し流されていく


身体の奥深く

どこまでも───







バタン



身体はついに

その守りの扉を
閉じた。



バタン

バタン



意識の底


私の心は
何重にも扉が閉ざされていくのを

ぼんやりと

感じた。

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