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禁断兄妹

第65章 聖戦③



小さな尻を撫で回し
下着越しに花びらをなぞり

指先に感じる湿度に興奮しながら
萌が目を覚ましそうになるまで
夢中で手を動かした。

もしもあの時
俺が身体に触れる前に
目を覚ましたなら

萌はおかえりなさい、と微笑んで


───良かった‥‥一人じゃ寂しいもの‥‥───


きっと
そう言っただろう。


脳震盪による記憶障害

一時的なものだとしても
何故五ヶ月も
しかも何故あの夜に
萌の時間が遡っているのか


「本当に‥‥本当に一時的なものですか」


「一時的な場合が多いのは事実です。妹さんにはまず休息が必要です」


「寝て起きれば、治りますか。
 妹に伝えなければならないことがあるんです‥‥先程父が亡くなったんです」


「まあ‥‥」


「妹の時間は父が病気だとわかる以前まで遡っています。そんな状態では、とても伝えられない」


看護師は言葉を失って
沈黙が
俺達にのしかかる。


「横入りしてごめん、ねえお姉さん萌は本当に大丈夫なの?脳に異常はなかったんでしょう?」


隣を歩く和虎が
我慢できないとばかりに問いかける。


「脳震盪の影響で記憶障害や吐き気が見られますが、看護師が付き添っていますし必要な時は医師もおります。
 ‥‥最善を尽くしますので、どうかご理解ください」


気休めにもならない答え

和虎はあれこれと質問を続けたが
俺の頭には
もう入ってこなかった。


一時的なものならいい
だがもし
寝て起きた後もさっきと同じ状態だったら
どうすればいい

旅行に行ったはずの父さんが
癌で死んだなんて

萌の精神は耐えられるのか

ショックで錯乱してしまうんじゃないか

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