禁断兄妹
第66章 罪と罰
殴られたって
罵倒されたって
構わなかったはずなのに
ただ引き離されることに怯え
いずれは萌を
アメリカに連れ去ることまで
考えていた。
萌を愛している
必ず幸せにするから
萌を俺にください
何度でも
胸を張って
そう言えば良かった。
引き離されたなら
どこまでも追いかければいいだけのこと
俺達は引き合う磁石のように
必ず
お互いを見つけられる
俺は絶対に諦めないし
それは萌だって同じで
二人で真剣に話せば
もしかしたら
本当にもしかしたら
認めてくれる可能性だって
万に一つはあったのかも知れないのに。
父さんが死んだ今だからこんなことを考えると
わかっているけど
自分の臆病さを
卑怯さを
後悔せずにはいられない。
父さん
あなたを信じることも
自分を信じることも
できなかった俺を
許してくれますか
「萌を‥‥俺にください‥‥」
今更
なんて身勝手だと
背を向けますか
父さん