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禁断兄妹

第67章 罪と罰②



「もう起きていたんですか」


眠れないまま迎えた
二回目の朝

若い組員に代わって部屋に入ってきたのは
ツトムさんだった。


「ツトムさん‥‥良かった」


ほっとした。

若い組員は皆
私語は禁じられているから、と
会話にも応じてくれなかったから


「ねえ修斗は?帰って来てる?」


「良かったって、情報源として喜ばれてるんですか?俺だって何もわかりませんよ」


ツトムさんは
ドアの前に置いてある
さっきまで若い組員がかけていた椅子に腰を下ろした。


「帰って来たかどうかくらい知ってるでしょう?」


「知りませんよ。嬢のマンションで別れたきりですね。連絡もありません」


「じゃあ、おじいちゃんは?」


「基本的に総本部のほうに詰めてらっしゃいますからねえ。いつここへ戻られるのかはちょっと‥‥」


「ねえツトムさんお願い、携帯を返して」


「またそれですか‥‥何度も言いますけど無理です。カシラの指示ですから」


「そこをなんとかして欲しいのよ!」


「段ボール箱の中でも、メソメソ泣きながらずっと言ってましたよね。
 無理だと言ってるのに、嬢は粘り強いというか頑固というか‥‥」


「じゃあツトムさんの携帯を一瞬貸して。お願いよ」


「それも駄目です。何度言ったらわかってくださるんですかね」


「だって、修斗が柊君に怪我を負わせてしまうかも知れないのよ?!そんなの耐えられないわ!」


きっと修斗は
柊君を狙う


考えたくはないけど
もう
手遅れかも知れない

でも
まだ間に合うかも
知れない

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