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私をじっと見つめながら
淡々とツトムさんの言葉は続く。


「カシラの甘さの代償として、嬢は破滅してしまいました。
　これはカシラにとって憤死ものだと思いますよ。『自分が受けるべき罰をどうして嬢が受けなきゃいけないのか』ってね。
　ご自分が破滅した方が、よっぽど楽だったでしょう」



───泣くな。みじめで悔しいのは、あなただけじゃない───



ふいに
熱を帯びた修斗の声が
甦った。


「嬢と同じように、カシラもお辛いのですよ」


「‥‥」


私は
修斗が最後に見せた怒りの激しさだけに
とらわれていたけど

私と痛みを
分かち合おうとしてくれていたことを
思い出す。


修斗も私と同じように

苦しんでいるんだろうか


今この瞬間も


「でも‥‥修斗が本当に自分のせいだと思ってるなら、柊君に復讐しようなんて思わないはずよ。それこそ責任転嫁じゃない」


「ははっ‥‥鋭いですね嬢。
　まあ、行き場のない感情には落としどころが必要ですし、どのみち組として一ノ瀬柊をこのまま見過ごすことはできません」


「何度も言うけど、悪いのは私一人よ。柊君は何も悪くない。お願いだから柊君には手を出さないで欲しいの」


「嬢はシュウクンのことばかりが心配なんですね。カシラの心配はしてないんですか」


「柊君も喧嘩は強いみたいだけど、修斗に敵うわけがないわ」


ツトムさんは
そういうことじゃなくて、と苦笑した。


「嬢のケツ持ちは目付役であるカシラです。今回の責任を取って、カシラは自分から指を落とすかも知れないんですよ」


「えっ‥‥」


思いがけない言葉に
一瞬
息が止まった。


「嬢に週刊紙の記事は見せるなとカシラから言われてますからお見せしませんけどね、会長の過去を暴くような内容になっとります。
　会長に恥をかかせてしまった訳ですから、手ぶらでは会わす顔がないでしょう」


「そんな‥‥そんなことって‥‥」


「会長はカシラを可愛がっていますから、会長から落とせとは言わんでしょうが、カシラが自分から落とす可能性が高い」


「ま、待って、それって本当？！大げさに言ってるんでしょう？！ねえその週刊紙を見せて！！」


「カシラが見せるなと言ってるんです。無理ですね」