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禁断兄妹

第68章 罪と罰③~灰谷の告白~



「すぐにドアに手をかけましたが、開かない。外からロックされている。
 倒れている男の手にキーらしきものが見えたのでそれを奪おうとしましたが、非常に固く握りしめたまま気を失っていて、怪我をさせないように指をこじ開けるのは困難でした。
 時間のロスだと見切り、とにかく中を見ようと、私はフロントガラスから車内を覗きこみました。

 月明かりに、こちらに背を向けている人影が見えました。
 ずっと追い続けていた、あの男の背中です。
 そして、男と向かいあうように後部座席に座っていたのは‥‥萌さんでした。

 私は‥‥私は、萌さんがこの中にいる、と確信していたはずですが、それでも本当にいたことに、衝撃を受けました。
 何より、萌さんのあまりにもむごい姿に、私の頭は爆発したように真っ白になって‥‥気づいたら、ボンネットの上に飛び乗っていました。

 萌さんは───

 一ノ瀬さん‥‥大丈夫ですか。これから、かなり残酷な状況をお伝えすることになります。


 えっ‥‥

 さっき言っていた写真というのは、そんな写真だったんですか?!
 そうです、萌さんは縛られて、服を切られて‥‥

 ああ、そうだったのか‥‥そうだったんですね‥‥あの野郎、なんてことを‥‥

 ‥‥わかりました。
 この目で見た全てのことを、話したいと思います‥‥」

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