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禁断兄妹

第68章 罪と罰③~灰谷の告白~



「後部座席に腰掛けた萌さんの上に、男は向かい合って馬乗りになっていました。
 両足を開いた状態の萌さんの太ももの上を跨ぐように、あの男が乗っていたんです。
 体重をかけられて、重くて痛くて、身動きなどできなかったでしょう。

 そして萌さんの両手は、首もとに固定するようにネクタイで縛られて、身につけているものは上から下まで真っ二つに切り裂かれて、肌が露に見えていました。

 男の片手は、萌さんの下半身に伸びていて‥‥つまりその‥‥性器に触れているのが、見えました。
 身体を萌さんへ寄せかけている男がこれから何をしようとしてるのか、嫌でもわかる‥‥
 私はもう正気ではいられず、気づいたらボンネットの上に飛び乗り、大声で叫んでいました。
 
 その音に男の動きが止まり、顔をあげた萌さんと目が合いました‥‥その時のことは、本当に、思い出しただけで胸がかきむしられます‥‥

 私は叫びながら車を壊すつもりで何度もボンネットを踏みつけた‥‥男が騒ぎになることを怖れて、止めに出てくるだろうと思ったんです。
 
 ‥‥そうです、それは私が出していた音だと思います。
 かなり遠くまで聞こえていたんですね。だからあの駐車場にあなた達もたどり着いた‥‥そういうことだったんですね。

 そして予想通り、男は車から出てきました。
 私はすぐさまボンネットから飛び降り、無我夢中で男に殴りかかりました。

 手加減なしの一撃でしたが、男はスリッピングで私のパンチをかわし、それだけでも驚きでしたが、カウンターを狙ってきたんです‥‥すんでのところでかわしましたが、正直、危なかった。
 
 男にはボクシングの心得があり、しかも高い技術を持っていることを体感した私は、熱くなっていた頭が一気に冷えるのを感じました。
 
 虚を突かれた私に対し、男は表情一つ変えず、今度は左を出してきました。
 仕留めにきているパンチです。只者ではない。
 冷静にならなければ負ける、と思いました」

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