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禁断兄妹

第70章 謙太郎と手紙



病院でもらった薬を飲んで
お母さんに添い寝してもらって
ベッドに横になった。

次から次へと溢れる涙
お母さんがそっと拭ってくれて
背中を優しくさすってくれる。

お母さんもすごく悲しいのに
悲しいのは私だけじゃないのに
私だけ甘えて
ぐずって


「ごめんなさい‥‥」


「どうして。萌はなんにも悪くない」


「こんな大事な時に怪我して、全部、忘れちゃって‥‥っ」


「大丈夫、時間が経てば自然に思い出すわ。
 それにね、悪いのはお父さんだと思うんだ。こんなに突然旅立っちゃうなんて、びっくりしちゃうよね。
 ホント、自分勝手なんだから」


ふふっと微笑んだお母さんの目から
はらりと涙が落ちた。

それを私が指で拭いて
二人で
ぎゅっと抱きあった。


大丈夫、大丈夫よ


ゆっくりと何度も繰り返すお母さんの声に
包まれて

涙が止まらなくて

そのままふわふわと身体が軽くなって

私は
眠ってしまった。


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