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禁断兄妹

第71章 君が方舟を降りるなら



部活の練習のこと、大会のこと、選抜メンバーのこと
大好きな部活の話に緊張気味だった気持ちもほぐれていって

大会の選曲のこととか
ソロパートのこととか

部活のミーティングをしてるみたいに気持ちが集中する中
たかみちゃんが部活の話と絡めて学校の行事のことも教えてくれる

二人の話を聞いて
質問して
夢中になってメモを取っていくうちに
ついにスケジュールが今に追いついた。


「これで先週までを話した感じだね。
 ふー、ちょっと休憩だね」


たかみちゃんの提案に
三人ともペンを置いてひと息ついた。

お母さんがみんなに新しい紅茶をいれながら


「みんなの話をここで聞いてて、部活のことにすっごく詳しくなっちゃったわ。
 新学期から入部しても違和感なくやれそうよ」


お母さんの言葉にみんな笑って
ぜひ来てください、とタカシ先輩が言ったら
いいの?って聞き返した顔がちょっと本気っぽくておかしい。

カップから立ち上る新鮮な薫りにリフレッシュ
心地いい


「そういえば、タカシ君が言ってた『時間は命』っていう話ね、いつもそういうこと考えてるの?
 感動しちゃったわ。すごく深いわよね」


お母さんの言葉に
タカシ先輩は少し照れたように笑って


「いつも考えてる訳ではないんですが‥‥さっきはちょっと語ってしまった感じで、恥ずかしいです」


「先輩!私には深すぎて実はあんまりよくわかりませんでした!」


たかみちゃんが、はいっ、と手を挙げてそう言うと先輩は
いいんだ忘れてくれ、と頭をかいた。


「タカシ君のおうちは有名な音楽一家だし、きっと小さい頃から英才教育で、色々考えることも多かったんじゃないかしら。すごく大人っぽいものね」


「うーん、そうですね。そういった環境も大きいかもしれません」


そしてタカシ先輩は
自分の家族のことを話してくれた。


お父さんは指揮者でお母さんはピアニスト
年の離れたお兄さんとお姉さんがいて
バイオリニストとオペラ歌手

いわゆる音楽一家の中に生まれて
小さい頃から当たり前のように音楽が側にあったこと

家族みんな本名で活動している有名人だから
タカシと名乗ると
父親や家族のことが話に出てきてしまうこと。

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