
禁断兄妹
第72章 君が方舟を降りるなら②
私を子供扱いせずに話してくれた
恋物語
それは
今まで私が思っていたお母さんを変えた
お父さんもお兄ちゃんも変えた
世界が
変わった
でも
嫌な変化じゃない
決して
───知ることは痛みかも知れない。でもそこには、喜びも確かにある───
そう
お兄ちゃんのあの言葉が
ぴったり
お母さんが話してくれた恋物語は
私の胸に
痛みと喜びを残して
私をほんの少し
大人にした。
『巽さんを愛してる。
喪った悲しみごと、今も、ずっと、愛してる』
いつか私もそんな恋ができるのかな
今は恋愛なんて
考えることもできないけれど
いつか大人になったら
お母さんのように
誰かを心の底から
愛してみたい
