
禁断兄妹
第72章 君が方舟を降りるなら②
「ねえお母さん、これ見て!先輩が個人レッスンのことを調べてくれたの!
それとね、先輩の個人レッスンを見学させてくれるって!」
「えー、すごい!」
私はその場で紙をお母さんに見せて
三人で立ち話を始めたら
止まらなくなった。
「もっと落ち着いて話をしたいわね。ここだと寒いし‥‥
ねえタカシ君、今日ってまだ時間大丈夫?」
「あ、はい。今日はレッスンもない日ですし、後は帰るだけです」
「じゃあ、もし良かったらだけど、うちに寄っていかない?
お茶だけでもいいし、夕御飯も一緒に食べれたら嬉しいわ。ねえ萌?」
「うん!」
「僕は構いませんが、逆にお邪魔してもいいんですか?」
「勿論よー、ぜひぜひ!
確かタカシ君は好き嫌いなかったわよね。
よーし、じゃあすぐ帰ってくるから、うちで待っててねっ」
「え」
お母さんはこれからスーパーへ買い物に行くところで
すぐ帰ってくるから、うちで待っていて欲しいと言った。
確かによく考えたら
お母さんはマンションから出てきたところだったけど
家の中で二人きりになるのは
ちょっと───
「柊がいるから、三人でお茶でも飲んでいてね」
「えっ」
お兄ちゃんが
それは
二人きりよりも
ちょっと
「そうですか、柊さんにお会いできるのは嬉しいです」
タカシ先輩はにっこりと微笑んだ。
