禁断兄妹
第72章 君が方舟を降りるなら②
透き通った氷の瞳から
燃えるような熱が
私の
中へ
「‥‥どういう意味‥‥わかんない‥‥」
「記憶を取り戻せば、全てわかる。
取り戻すという表現は適切じゃないね‥‥もうそこにあるのだから」
私を強く見つめながら
その綺麗な指が動いて
私の胸を指し示した。
もうそこにある
「柊さん、あなたは何を隠しているんですか?!教えてください!!」
タカシ先輩が立ち上がった。
「萌が記憶を取り戻した時に、直接聞くんだな」
「戻らない可能性だってあります!実際一ヶ月以上たっているじゃないですか、それに戻らなくても今の萌さんには何の問題もない!」
「戻るよ、必ず。落ち着きなさい」
「‥‥っ」
記憶を取り戻せば
全てわかる
呆然と
お兄ちゃんの言葉に
包まれて
まるで触れられたように
じん、と胸が疼いて
「君達が夢の実現の為に協力関係を築こうと本気で思っているなら、馴れ合うことなく、お互いに節度をもって接しなさい。
もう一度付き合いたくなっても、絶対に萌の記憶が戻ってからにしなさい。
‥‥いいね?」