禁断兄妹
第73章 君が方舟を降りるなら③
霧島組───
萌の携帯に残されていた凄惨な写真がフラッシュバックして
息が詰まる
「実は俺、あれから毎日ずっと、あの番号にリダイヤルし続けてたんだ。ずっと着信拒否だったから、大晦日に柊兄と会った時にもう無理だなって話したけど、やっぱり諦められなくてさ」
毎日
「そうだったのか‥‥」
呆然と声が出た。
あの番号とは
萌を運び込んだ病院にいた時
俺と和虎の携帯にかかってきた
由奈からの電話のこと
由奈が持っていた携帯とは異なるその番号は
何度リダイヤルしても明らかな着信拒否で
もう繋がる見込みはないだろうと
俺達の話はそこで終わっていた。
「由奈のことも心配だったし、萌がまた襲われるんじゃないかって、柊兄すごく心配してたじゃない?絶対一人で歩かせられないって‥‥だからどうしても由奈と連絡をとりたくてさ。
着信拒否を続けてるってことは番号を変える気はないってことだし、いつか出るかもって‥‥諦めなくて良かったよ」
和虎の粘り強さに感服するのと同時に
自分に足りていないものを
教えられている気がする。
「和虎、お前はすごいよ‥‥」
「うん、今回は自分のしつこさを自分で褒めてあげたいね」
あの時由奈は
今から会長が俺に手出ししないように指示を出す、と言っていたらしいが
萌は狙われ続けるんじゃないかと不安で
だからボディーガードをつけることを考えて
でも萌に拒否されて
タカシに頼らざるを得ない状況が今も続いていた。
「今日もいつものようにかけたんだ。もう日課みたいなもん。そしたらさ、男が出たんだ。
『話すのは今日が最初で最後だ。用件を聞こうか』ってね‥‥」
和虎は会話の内容を
克明に話し出した。