禁断兄妹
第73章 君が方舟を降りるなら③
「あの娘は‥‥いえ由奈さんは、結婚なんて望んでなかったはずです!何があったんですか?」
「まあ色々あってそういう結果になった‥‥望んでなかったにしろ、結婚すると決めたのは嬢だ」
口ぶりから、この人物にとっても残念な結果だったんじゃないか
そんな気がした
「無理矢理そう仕向けられたんじゃないですか?」
「仕向けられたにしろ、最終的に決めたのは嬢だ。人の人生に口出しするなよ」
「口出ししてるんじゃない。心配してるんです。大事な友人を気遣ってるんです!」
「ぎゃあぎゃあうるさいな‥‥口では心配だの何だの言って、実際には何の力もなくて見てるだけだろうが」
「親身になって気遣ってくれる人がこの世に一人もいなかったら、むなしいでしょう。
僕は由奈の為に、ぎゃあぎゃあ言いますよ」
そう言ったら
フン、と鼻で笑う声がして
「こちらの世界には二度と関わるな。また一度でもかけてきたら、霧島組が動くぞ‥‥じゃあな」
一方的な言葉を最後に
電話は切られてしまった
───