禁断兄妹
第74章 君が方舟を降りるなら④
「本当?!本当なのお母さん!!」
「おめでとうございます!」
「マジ?!マジで?!」
驚きと歓喜
寝耳に水
青天の霹靂
美弥子が
妊娠
「う、疑う訳じゃないけど、いつ妊娠するタイミングがあった?父さんはずっと入院していたし、もう末期状態で‥‥」
「巽さんが亡くなる十日くらい前に、柊君が萌と一緒に、初めて巽さんのお見舞いに来てくれたことがあったよね。
あの後巽さんが熱を出して、私は病院に泊まり込んで、その時に‥‥私がわがままを言って、してもらったの」
頬を染め
はにかんだ笑顔を見せる美弥子
「私は以前から生理不順だったし、柊君が言うように巽さんの体はとても弱っていて‥‥それから巽さんが亡くなったショックもあって、まさか妊娠してるなんて思いもしなかった。先週病院に行って、初めてわかったわ」
「ほ、本当なんだな‥‥?」
声が
震えた。
父さんの
子供
父さんの
「本当よ」
力強く美弥子が頷く。
「安定期に入るまでは万が一ってこともあるから、誰にも言わないつもりでいたの。風邪気味だって言ったのも、その為よ。できるだけ体に気をつけたかったの。
でもね、やっぱり今伝えようって、絶対に元気な赤ちゃんを産むんだって思って───」
「美弥子!」
俺は美弥子を
引き寄せた。
「きゃあ!」
空気ごと抱くように
腕の中にふんわりと
だけどしっかりと
美弥子を囲った。
「美弥子‥‥お前はやっぱり父さんの愛した女性だ。さすがだ。お前はすごいよ‥‥」
父さんの命が
新しい命に受け継がれた
こんな奇跡
美弥子にしか起こせない
「ありがとう美弥子‥‥本当にありがとう‥‥」
「いってらっしゃい、柊君。今度会う時はお腹が大きくなってるわ。楽しみにしていてね‥‥」
「ああ。すごく楽しみだ。待ちきれないよ」