禁断兄妹
第76章 エム・オー・イー
それからしばらくみんなでお喋りを楽しんで
カウントダウン
年が明けて
パーティーはお開きになった。
和虎さんと灰谷さんが帰った後
私達は洗い物や片づけをして
綺麗になったリビングでコーヒータイム。
三人で
去年のこと
これからのこと
静かにお喋りして
「さてと。寝る前にシャワーを借りるよ」
「柊、借りるなんて言わないで。柊の家なんだから、いつでも何でも自由に使ってね」
明日も明後日もお兄ちゃんは家にいる。
嬉しくて
ほろ酔いのせいか気分が高揚して
寝るのがなんだかもったいないくらい。
「あ、タオル戻してない!」
お母さんが
まずい、という顔をする。
「大掃除で全部洗濯して畳んだのを、キャビネットに戻し忘れてたわ!
いつも入れてあるから、柊それを使おうと思って気づいてないかも」
「えー」
「萌、置いてきて」
「えー?!」
どうして私なのと言うと
万が一お兄ちゃんと顔合わせちゃったら気まずいじゃない、とお母さんは言うけど
それは私も一緒
「ほら、萌は柊に可愛がられてるから笑って許してくれるわ。私だと、お前さぁ‥‥ってなるから。
それにさっきバスルームに行ったばかりだから、まだ出てこないわよ」
今のうちに早く置いてきて、とお母さん
仕方がないから
タオルを手に急いでユーティリティへ向かった。
そーっと扉を開けると
明かりのついたバスルームからシャワーの音と人影
確かにまだ浴びている最中。
手早くキャビネットにタオルを収めて
一枚はすぐ使えるようにお兄ちゃんが置いている着替えの横へ
これで任務完了。
「‥‥」
壁についている造り付けの棚の上に
私の目がとまった。
あのペンダントが
置いてあった。
アンティークな金色をしたそれは
鎖をまっすぐに整えた状態できちんと置かれていて
大切にしていることがわかる。
永遠の愛
それは
何なのだろう
お父さんや本当のお母さんの写真かなって
思ったりもしたけど
───来るべき時が来れば、自然に開くのさ───
その言葉を聞いて
違うのかなって
永遠の愛
それは何なのか
知りたい
雨のような水音の中
私の手が
ペンダントへと伸びた。