禁断兄妹
第76章 エム・オー・イー
「そうですか‥‥」
萌はわかりやすく落胆し
うなだれる。
「柊兄に直接聞いてみたら?」
「聞けません」
「どうして?」
「聞けません。だって、お兄ちゃんは時が来たら開くって言ったのに、勝手に開けてしまって」
「ねえ萌。それも、『時』なんじゃないかしら」
萌がふっと顔を上げた。
「時が来たから、萌が開けた。
ペンダントが開く時が、来たってことなんじゃない?」
「‥‥」
グラスに視線を落とす萌
瞳が揺れている。
「それとね萌。どうして勝手に開けてまでペンダントの中を見たいって思ったの?あんたはそんなことする子じゃないのに」
「お兄ちゃんの言う『永遠の愛』が何なのか、知りたかったんです」
「どうして知りたかったの?」
「わかりません。ただ知りたくて、どうしても知りたくなって‥‥」
俯いてため息
初恋に戸惑う少女のよう。
「わからないって諦めずに、なんでも掘り下げて考えてみるといいわ。
自分の深いところへ降りて行って、本当の気持ちを見つめてみるの」
俺の言葉をじっと聞いていた萌
俯いたまま
はい、と頷いた。
今は強く背中を押す時じゃない
萌の足が自然に動き出すのを
見守るだけ
「‥‥ところでさ。柊兄の裸見たの?」