禁断兄妹
第76章 エム・オー・イー
「‥‥!!!」
ウーロン茶を飲んでいた萌が
大きくむせて
ゴホゴホと咳き込む。
「見たのね」
「見、見てません!!」
「顔真っ赤よ萌」
「‥‥っ」
真っ赤に上気した頬を両手で押さえ
また泣きそうな顔をする萌
あまりにも可愛くて
面白すぎる。
「だってさー、バスルームから出てきた柊兄と鉢合わせたんでしょ?ねえねえ、どこまで見えた?」
「きゃー!!イヤー!!思い出させないでください!!」
「見えてんじゃん」
萌はカウンターに突っ伏した。
耳まで赤い。
「あっはっは、ゴメンゴメンもう言わない」
そろそろと顔を上げる萌
可愛くて
「でもさ、アンダーヘアまでくらいは───」
「きゃー!!上半身しか見てません!!本当ですっ!!」
萌は再びカウンターに突っ伏す。
「何してんのよ虎ちゃん、萌ちゃんいじめてるのー?」
「あっはっは、ゴメンゴメン、可愛くてつい」
俺は
萌の赤く染まった耳を微笑ましく見下ろしながら
雪解けを感じていた。
大人の男性の裸なんて
昔の萌なら嫌悪感や恐怖感しかなかっただろう
だけど今の反応はむしろ
ドキドキとした胸のときめき
それは萌にとって
決して疎ましいものではないはず
柊兄が辛抱強く待った七年間
本当に
時が来たのかも
知れない