禁断兄妹
第76章 エム・オー・イー
「手紙‥‥」
「ガタイのいい君の友人は覚えているはずだよ。彼に伝えてごらん」
「ヒロのこと?元格闘家の」
「そいつが真っ先に思い浮かんだなら、そうだろうね」
要には何が見えているのか
手紙?
ヒロは覚えている?
茫然とする。
「自分から聞いておいて、何をびっくりしてるんだか」
要はクスクス笑って
「ところでさ‥‥君の泣き声がメソメソうるさくて、眠れない時がある。一人で泣くのはやめろよ」
「なっ‥‥?!」
「ヒントは一度きりだよ」
そして電話は切れた。
───『メカイ』でも『テカニ』でもない。『手紙』だ───
俺にはなんのことか思い出せない
だけどヒロに伝えれば
とてつもなく重大な鍵を手にした予感
とにかく早くヒロへ
自分の携帯を取り出す指が
震えていた。
そして胸も
きしむように震えていた。
要
二度と声を聞くこともないと頑なに思っていた
七年の間に
その頑なな鎖は
解けていた。
───君の泣き声がメソメソうるさくて、眠れない時がある。一人で泣くのはやめろよ───