禁断兄妹
第77章 手紙を奪還せよ
作戦会議が終わったのは朝方
俺はヒロの家に泊めてもらい
霧島組への電話はヒロの家からすることにした。
それならヒロもちょっと店を抜けて
俺の会話を見守ることができる。
間違い電話を装うからチャンスは一度だけ
時間は夕方四時と決めた。
あの男が朝型なのか夜型なのかわからないが
どちらであったとしてもその時間なら電話に出る可能性が高いだろうと
二人で考えた時間だ。
フリーで働いている俺はその日特に予定もなかったから
昼まで寝させてもらい
その後は時間まで店を手伝った。
タフなヒロはほとんど寝ずに店に立ったようだけど
作戦に燃えていて
むしろ眠れるかとギラギラ
そしていよいよ夕方四時
俺達はヒロの部屋に引っ込み
何か情報を得た時の為に紙とペンを用意して
作戦決行。
「じゃっ、いきますか」
「頼む」
緊張感は邪魔
これはただの間違い電話
例の電話番号を表示させて通話を押した。
呼び出し音が鳴って
まずは第一関門突破。
ヒロは隣で胡坐をかき耳を澄ましている。
「お前か」
出た
しかも
はなから俺だと気づいている。
予想外の展開に内心動揺しながらも
まずは台本通りに
「えっ、あれ?あの、高木ですけど、キリタニさんじゃ‥‥?」
フン、と鼻で笑われた。
七年前電話で話した男だ
間違いない
「あれ、すみません。間違えてしまったみたいですが‥‥もしかして霧島組の方ですか」
「その図太さ、変わらないな」
俺に対してどこか親しみさえ感じる声
七年の歳月の力か
「ご無沙汰しています」
「何の用だ」
「すみません、違う人の番号と間違ってかけてしまったんです」
「間違って、か」
余裕のある態度
俺を受け入れている。