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「ふう‥‥任務完了」


俺は大きく息を吐き
知らず強張っていた体から力を抜くと
隣で固唾を呑んで見守っていたヒロに
今の会話の内容を説明した。


「万に一つの方法か。しかしよく聞き出してくれた」


お見事、と
感服の表情でヒロが手を叩く。


「うん、まずは手掛かりを掴んだね」


「由奈さんは、神楽組の組員と結婚したのか」


「うん。七年前の電話で今の男から聞いて、その後に出た週刊誌にも、神楽組の長男と結婚したって小さく出てたよ。
　その長男は若頭補佐で、将来の組長候補だと書いてあったな」


この七年の間に萌を襲った男が組長に出世していたように
由奈の旦那も出世しているかも知れない。


「由奈を通すという手は、方法の一つとして俺の頭にはあったんだ。でも昔の由奈の携帯番号はもう使われていないから、どちらにしろまずは霧島組に接触するしかない。
　それに、ただでさえ霧島組と関わらなきゃならないのに、神楽組の姐さんを引っぱり出したら二つの組がからんで話が大きくなってしまうリスクもあるから、最終手段だなと思ってた」


確かにそうだな、と
腕組みをしたヒロが深く頷く。


「しっかしさ、旦那の両親と先代の祖父母と、三世代で同居だよ。嫁としてはきついんじゃないかな。想像しただけで息苦しく感じる」


「籠の鳥、というのはそういう状況から来てるのかもしれないな」


その状況で七年間過ごしてきた由奈
幸せならいいけど
心配だ


「由奈だけに接触するには、どうすれば一番いいだろう。この家に直接行くか、手紙を出すかしかないと思うけど。
　まずは手紙が無難なんじゃないかな」


「もし籠の鳥なら本人の手に渡る前に開封されたり、本人の手に渡らなかったりする可能性があるぞ」


「あー、そうか」


下手な内容は書けない
連絡が欲しいと俺の電話番号を書くくらいか