禁断兄妹
第77章 手紙を奪還せよ
「由奈だって、一度くらい会長の働きかけに応じたっていいはずだ。相当こじれてる」
「籠の鳥なのかも知れないが、自分の意思という要素もあるんだろう?」
「うん、さっきの男はそう言ってたね」
由奈は柊兄のことが本当に好きだったから
その柊兄の妹を襲ったあの男も霧島組も許せないって気持ちはあるだろう
意に染まない結婚を強いられたことの当てつけもあるのかも
だけど七年間は
長すぎないか
由奈
今どうしてる
今何を思ってる
「俺にできることなら、何でもしてやりたいよ。もし籠の中なら、放してやりたい」
「由奈さんの為にも、俺達が動くことには意味があるかも知れないな」
呟いたヒロの言葉が
胸に沁みた。
由奈と連絡が取れたとしても
組長に会うことにイエスと言ってくれるかはわからないし
由奈が直接頼んだとしても
組長が手紙を返すかどうかは未知数
だけどやってみるしかない
俺達が動くことには
きっと意味がある