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禁断兄妹

第78章 恐れずに進め



その後も翼とお母さんがいるお陰で
不自然にはならずに振る舞うことができたけれど
ふとした瞬間に
昨日の出来事を思い出して

頬は火照り
胸は切なく締めつけられる。

二つのリングに隠された秘密
永遠の愛

わからない
知りたい
でも
聞けない

来るべき時が来れば自然に開く、とお兄ちゃんは言っていたのに
無断で勝手に開けてしまった罪悪感
見ていない、と言った手前もある。

わからない
知りたい
でも
聞けない

波のように繰り返す想いに揺られながら
つい
お兄ちゃんの姿を目で追ってしまう。

ほとんど翼と一緒にいて
その相手をしているお兄ちゃん

でも
翼だけに全ての意識を向けてはいない

切れ長の美しい瞳は
私の視線をすぐに掬い取って
静かに
結んでくれる。

きゅっと
視線が結ばれるたび
私の胸は甘く震えて

夢のような世界に引き込まれそうになって
はっと我に返り
視線をほどく。

盗み見しているようで恥ずかしい
でも
気がつくと
お兄ちゃんを見てしまう

結ばれた視線の中に
答えを探してしまう。

時にお兄ちゃんの視線は
狂おしい熱を帯びて
私の瞳から
はっきりと

首筋
と落ちて行くのがわかって

Vネックのセーターの中へ滑り落ちてから
またゆっくりと
視線を合わせられた時は


「萌ちゃんお顔赤い。お熱?」


翼に心配され
額に手を当てられてしまったほど

お兄ちゃんは私にだけわかるように
小さく舌を出して悪戯っぽく微笑んだ。

意地悪

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