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禁断兄妹

第78章 恐れずに進め



昼間は翼が主役
夜になって寝た後は
私とお兄ちゃんとお母さんでゆっくり話すことができる時間。

物思いに揺れてばかりはいられない
私は今回お兄ちゃんとお母さんに相談したいことがあった。


「あのね、私、二人に相談したいことがあって」


私は今年の夏休みを利用して
海外のサマーアカデミーやマスターコースを受けてみたいと思っていることを話した。

個人レッスンを受けている先生や大学の先生
受講した経験のあるタカシ先輩からも話を聞いて
夏休み期間なら大学の授業にも影響がないし
良い経験になると勧められたことや

海外に行ったことのない私には大冒険だけれど
語学の勉強にもなるし行ってみたいと
二人に話した。

お兄ちゃんもお母さんも
ずっと頷きながら
しっかり聞いてくれて


「いい考えだと思うよ。俺は賛成だ」


「そうね!お母さんも聞いていてわくわくしちゃった。大賛成よ」


「あ、ありがとう!」


まずは二人に賛成してもらえて
ほっと一息。


「でもお母さん、私がいなくて翼の世話とか大丈夫かな」


私が一週間でもいなくなると
お母さんが大変なんじゃないかなって
それが心配だった。


「大丈夫よ萌。そんな心配はいらないわ。
 ねえ、今まで萌はフルートの練習と勉強だけでもすごく大変だったはずなのに、翼の世話をよくしてくれて、お母さんをたくさん助けてくれた。本当に感謝してる。
 翼はもう赤ちゃんじゃないし、私一人でも大丈夫よ」


「わかった‥‥ありがとう」


「もし今の話を父さんが聞いていても、きっと賛成したと思うよ。ただ、可愛い一人娘の海外旅行に、さぞ心配するだろうけどね」


「そうよね。女の子一人で大丈夫かしら。可愛い子には旅をさせろと言うけど」


確かに私自身
わくわくとした希望だけじゃなく不安もある。


「と言う訳で、俺から賛成の条件がある。
 行く国とかはこれから考えたいって言ってたけど、どこに行くにしろ、俺が現地の空港で待っていて、ホテルも同じところに滞在する。
 ニューヨークかパリかロンドンにして欲しいけど、萌が望むならそれ以外でも構わない」


「えっ?」

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