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禁断兄妹

第78章 恐れずに進め



二つのリング
永遠の愛
その意味を
どうしてこんなに知りたいのか

どうして
お兄ちゃんと視線が絡み合うたび
身も心も
切なく燃えあがるのか

その答えは全て

失った記憶の中にある‥‥


───一ノ瀬には、記憶を取り戻そうっていう気持ちは、もうないのかな───


きんと冷えた新鮮な空気を
吸い込んで


「あります。
 あの記憶は、私に必要なものなんです。

 ‥‥取り戻します」


はっきりと
口にした。

自分自身への宣言は

言の葉となって私の耳を通り

胸の中へと落ちてゆき

月明かりに照らされた奥底を
コツン、と
叩いた。


───記憶を取り戻せば、全てわかる。

 取り戻すという表現は適切じゃないね‥‥もうそこにあるのだから───


ふっと蘇ったお兄ちゃんの言葉

私を強く見つめながら
長く美しい指を伸ばし
私の胸を指し示したあの日

あれはいつのこと
七年も前のこと

そうだ
答えはあれからずっと

ここにあるんだ

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