
禁断兄妹
第78章 恐れずに進め
確かに七年前の私は
記憶を取り戻すことに強い恐れを抱いていた
亡くなる直前のお父さんと一緒にいたのは私
目の前で危篤状態になったその記憶も一緒に取り戻してしまうことが
どうしても怖かった
十三歳の私には
どうしても耐えられなかった
でも
今の私なら
───知ることは痛みかも知れない。
でもそこには、喜びも確かにある。俺は、そう思えた。
萌。
俺が力になる。支えになる。
癒すし、なぐさめる。
だから
知ることを、恐れないでくれ。
そこには喜びも、確かにあるのだから───
「お兄ちゃん‥‥」
七年前
お父さんのお葬式の時
お兄ちゃんが私にくれた言葉
ああ
この前だって
───萌がどれほど力いっぱい飛び上がっても、どんなに高いところから落っこちても、俺がいる。大丈夫だから、何も心配せずに思い切りやってみなさい───
───世界を見においで、萌。俺はいつでも両手を広げて、待っているから───
いつだってお兄ちゃんは
私を見守ってくれている
今も昔も変わらず
時も距離も越えて
太陽のように私を照らし
勇気を送り続けてくれている
俺はここにいる
恐れずに進め
と
