禁断兄妹
第78章 恐れずに進め
「びっくりしてるってことは、弘至君から名刺をもらった時が、さっき一ノ瀬さんが言っていた、記憶のない期間にちょうどあたるのかな?もらったことを覚えてないのかな?」
「は、はい。そうです」
「なるほどなるほど、了解です」
どうして灰谷さんが
心理カウンセラーの名刺を私に
「あの‥‥どうして灰谷さんが私にこの名刺をくれたのか、先生はご存じですか‥‥?」
思い切って聞いてみた。
「いや、どうしてかは知らないですね。弘至君はまだ来院されていない方のプライバシーを先走って話すような人でもないですしね。
まあ察するに、その頃のあなたは何か問題か悩みを抱えていたんでしょうね。それで弘至君は私を紹介したんでしょう」
「そうですか‥‥」
何か問題か悩みを
抱えていた
カウンセラーに相談したほうが良いと灰谷さんが思うくらいだったということだろうか
「まあとりあえず、来て頂いた時に話しましょう。
あ、私からは一ノ瀬さんから予約が入ったとか、いつ来院するとか、弘至君には何も言いませんからね。秘密厳守ですから」
「わかりました」
「では三日後の一月十三日、朝イチの午前九時ですね。お待ちしていますよ」